親が認知症になる前に ~できることをはじめよう~

師走の季節がやってきました。一年がたつのは本当に早いものですね。

 アラフィフの私ですが、年とともに時間の経過が短く感じられるようになり、今年の元旦がつい1週間前くらいに思えてきます(大げさ?)。
 皆さんは、お正月の予定は決まっていますか?ご自宅で静かに過ごされるという方が多いのでしょうか。帰省する方もいらっしゃるかもしれませんね。私は、コロナ禍ということもあり、実家へ帰省しようか思案中です。
さて、私の父は80代になりますが、物忘れが激しく感じることが増えてきました。置き場所を忘れるなんていうのは可愛いほうで、ATMでお金を引き出しておきながら、覚えていないこともありました。
「あれ、そうだったっけか?」
元来のんきな父は、そんなふうに笑ってごまかしますが、お金をちゃんと管理できているのか心許なく、心配になってしまいます。
「最近のお父さん、大丈夫かね?」
兄弟で話すことと言えば、そんな父の言動に関することが多くなりました。
 
親元を離れて暮らしていると、久しぶりに実家へ帰ったときに、親の言動の変化に驚くことはありませんか?
同年代の方だと、私と同じように「以前はこんなことなかったのに・・・」なんて、戸惑いを感じている方も多いのではないでしょうか。 
お金の管理もちゃんとできているのか、心配になることはないですか?

もし親が認知症となった場合、子供が親の預金を引き出すことはできると思いますか?
残念ながら、現状では「NO」です。
銀行側が、認知症の発症などにより、口座名義人の判断能力が著しく低下していることを知った時点で口座は凍結され、たとえ家族であってもお金を引き出すことができなくなってしまいます。
 そうなったら、困ってしまいますよね。
そんなときに利用できる制度として「成年後見制度」があります。
「成年後見制度」とは、認知症などで判断能力が衰えた人に代わり、後見人がお金の管理や契約などを行う制度です。

この「成年後見制度」には、「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類がありますが、この2つは大きく異なります。

ポイントは次の3つです。
いつ <本人の判断能力が低下後か、低下前か>
誰が <後見人を選ぶのは誰か>
何を <後見人が代理する行為の範囲を決められるか> 

一つずつご説明します。

まず、「いつ」についてですが、
法定後見:本人の判断能力が低下してから親族等が家庭裁判所に申し立てる。
任意後見:本人の判断能力が十分なうちに、将来的に任意後見人になる人との間で、公正証書で任意後見契約を締結する。

つまり、任意後見は本人の意志によって任意後見契約を結ぶため、本人の意思反映が可能であるのに対し、法定後見では、すでに本人の判断能力が衰えてからになるため、本人の明確な意思反映が難しくなります。

次に、「誰が」ですが、
法定後見:申立てにつき家庭裁判所が審判を行い、家庭裁判所が選任する。
任意後見:本人が任意後見契約の相手方(受任者)を選任する。

繰り返しになりますが、任意後見では、本人の意思によって契約を締結するので、後見人になってもらいたい人を本人が決めることができます。
一方、法定後見では、家庭裁判所が選任するため、家族がいても、法律や福祉の専門家などの専門職後見人が選ばれることがあり、申立て通りに選任されるとは限りません。

3つ目の「何を」ですが、後見人が付与される代理行為は
法定後見:財産に関するすべての法律行為
任意後見:任意後見契約で定めた行為 です。

後見人に何を代理させるかは、法定後見では「財産に関するすべての法律行為」である一方、任意後見では、「金融機関との取引」や「医療契約に関する事項」など、委任したい事項を契約書に定めることができます。

さらに任意後見人は、子供などの家族と、金銭管理に詳しい専門家の2人に委ねるなど、複数人を選んで依頼することも可能です。

このように任意後見の方が自由度が高く、本人の意思がより強く反映できることがお分かりになるかと思います。
この記事をお読みになって感じることがあれば、ぜひ前向きに任意後見制度の利用を検討されることをおすすめします。

仙台相続サポートセンターでは、任意後見のご支援をしています。
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